イクメン日記〜私の身近にある納税〜
私は、酒はまったく飲めないが甘いものは大好物だ。
月末に仕事がひと段落して食べるアイスなどは特に至高である。
しかし、近頃はそのような時間を取るのは難しくなった。我が家の3人の子供たち。6歳長男、3歳二男、1歳長女。彼らもまた甘いものが大好きだ。彼らに見つかればたちまちお菓子は彼らの口に入り、私の手残りはわずかなものとなってしまう。
自らの獲得したものの一部(時に全部)を一切の見返りなく、強制的かつ無慈悲に持っていかれるこの現象に、私は「納税」と名付けることにした。
問題は、税法は憲法に縛られるが、子供達にはそんなものは何もないということだ。
租税法律主義も財産権の侵害禁止もあったものではない。
ただ大人は子供達の求めるところにより納税の義務を負い、税率が100%になろうとも満足しなければさらなる納税を要求されるのである。
しかし私は税理士。納税であれば予測・対策ができるはずだ。納税を減らすための対策としては
①所得を下げる
②税率を下げる
そして
③奥の手
の3つが考えられるだろう。
1. 所得を下げる。
2 .税率を下げる。
また、大人がじっくり味わいたい上質なスイーツがあるときは、税率の高いチョコレートやアイスなどをあえて配ることで、本命の税率を下げるという作戦もなかなか有効だ。
3 .奥の手
子供達の変化
大人げもなく自分のお菓子の手残りを増やそうといろいろと策を講じてきた私だが、ある時少し考えが変わる出来事があった。
いつものように仕方なくお菓子の大半を納税すると、長男が「お父さん、おいしいからあげる」と分けてくれたのだ。
いらないものをくれることはあっても好きなものは決して手放さなかった長男が好物を分けてくれたことに感激。
さらに、長男に対し常に対抗意識のある二男は、お菓子を全部食べたい気持ちと兄に負けたくない気持ちの狭間で揺れ動いているのか、しばらく硬直した後爪の先ほどの大きさだけ分けてくれた。
兄たちのまねっこが得意な長女は握りつぶしたバナナを「あい」と言いながら差し出してくれる(もらおうとすると引っ込める)。
子供達がそれぞれ彼らなりの成長を見せてくれる度、国民の義務を果たすのもなかなか悪くないと思うのであった。