相続税の連帯納付義務の概要について

相続税の連帯納付義務とは、複数の相続人がいる場合に、各相続人が相続税を納付する義務を互いに負うことを指します。具体的には、相続税を納付期限までに支払わない相続人がいる場合、他の相続人がその未納分を支払わなければならない可能性があります。ただし、支払う金額は相続で得た財産の価額が上限となります。

連帯納付義務者は、滞納している相続税があると税務署から通知を受けます。この通知は、最初は「完納されていない旨等のお知らせ」として送られ、その後も未納が続くと「納付通知書」が届きます。納付通知書が届くと、記載された内容に従って税金を納める義務が生じます。

また、連帯納付義務者が他の相続人の代わりに相続税を納めた場合、求償権を持つことができますが、これを放棄すると贈与とみなされ、贈与税が発生する可能性があります。

連帯納付義務者が納税を肩代わりする際のリスクには以下の点が挙げられます:

  1. 財産の消耗: 連帯納付義務者は、相続した財産の価額を上限として他の相続人の未納分を支払う義務があります。そのため、相続した財産が全て納税に消えてしまう可能性があります
  2. 延滞税や利子税の負担: 連帯納付義務者が未納分を支払う際には、延滞税や利子税も含めて支払う必要があります。延滞税は軽減される場合もありますが、利子税は発生するため、予想以上の負担となることがあります
  3. 財産差し押さえのリスク: 連帯納付義務を履行しない場合、財産が差し押さえられる可能性があります。これは、納税義務を果たさない場合の法的手続きの一環として行われます

これらのリスクを避けるためには、相続税の支払いについて早期に対応し、連帯納付義務が発生しないようにすることが重要です。

連帯納付義務を逃れるためには、相続を放棄するという方法があります

相続開始日から3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きを行うことで、相続を放棄することが可能です。被相続人からの相続の一切を放棄することで、連帯納付義務を負わされずに済みます。

連帯納付義務は、相続税の申告期限から5年間有効です。5年以内であればいつでも税務署から通知がくる可能性があります。

連帯納付義務で支払う金額

連帯納付義務で支払う金額には、限度額が設けられています。

連帯納付義務の限度額=相続した遺産額ー納付済みの相続税額

相続で得た財産を限度として、連帯納付義務が適用されます。

また、納付期限を過ぎた場合には、利子税および延滞税が加算されます。

利子税は、未納の相続税に対して遅れた日数分支払います。税率は年によって変わりますが、令和3年の場合、年率1.0%に設定されています。
さらに、納付基準日から2ヶ月を経過しても完納できない場合には、延滞税が適用されます。延滞税も利子税と同じく遅れた日数分支払いますが、税率が高く設定されています。令和3年の場合、年率8.8%となっています。

連帯納付義務を負ったまま相続人が亡くなった場合、納付義務は家族に相続されますので注意が必要です。

連帯納付義務の注意点

連帯納付義務は、現金での一括納付が原則です。相続税では延納や物納といった納付方法がありますが、連帯納付義務の場合には利用することができません。

相続税や上記のような連帯納付義務についても、当事務所でサポートさせていただきます。いつでもお問合せください。

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